近づくと町の中央には城塞があり、また反対側に教会と広場がある。町を取り巻く崖の上には荘厳な石づくりの家がびっしりと立ち並んでいる。空中楼閣のようだ。町へ入る。谷を渡る橋を越えて入る。万一のときはこの橋を落とせば、町は難攻不落となるだろう。ピティリアーノに限らず、中世の山岳都市は、何よりも防衛をむねとして作られた。小国家が乱立したイタリアという地域では、領主とその領民は城塞都市に住んだ。また、あえて不便な山岳に居を構えたのは、焦眉を極めた疫病から逃れるということだったらしい。当時のイタリアでは、低地に立ち込める空気が疫病の原因であると考えられたのである。そしてその空気から逃れるために、人々は山上に町を建設した。こうして、外部の侵入を拒む城塞都市がイタリア各地に誕生した。ピティリアーノの町に入ると、威圧的な外観とは災なり、人々が肩を寄せあって暮らしていくのにふさわしい、ヒューマンスケールの町が広がっている。イタリアの主要都市から離れているため、人口は減少しているらしく、町には放棄された無人の区画もある。
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