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熟年離婚と失業のダブルパンチ

2011.10.21

「この家、将来は2つに分けられますか?」「えっ、どういうことですか?」「ですから、主人の家と、私の家の2つにですよ」「……!」住宅設計の現場で、最近、こんな質問を受けることがある。ことに公的住宅ローン借り入れなどにあたり、夫婦2人の名義で借りるときや、土地が夫のものであったりするとき、こうした発言が飛び出しやすい。いわゆる担保提供や、相続が発生した場合のことを考えての話だが、当然、「離婚」も視野に入っている。

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ほんとうに将来、分けるかどうかは、本人たちにもわからない。しかし、万一の場合のことを考えて、財産分与の方法を考えておきたいのだという。実際、「定年離婚」は増えている。そんな夫婦は、実質的にはとうの昔から「家庭内離婚」していたのだろうに、なんで今さらとも思うのだが、やはり夫の定年は大きな契機になるのだろう。子どもたちはすでに独立したし、夫も立派に会社を勤め上げた。双方、責任は果し終えたわけである。まとまった退職金ももらえることだし、きっちり財産を分けて「あとはそれぞれ好きなように生きましょう」となる。妻にとっては、ある面では「満を持して」の決断だ。現実に、きっぱり離婚してひとり暮らしをしているご婦人に聞くと、じつにせいせいした顔でこうおっしゃる。「会社人間だった夫との暮らしには飽き飽きしていた。私には友だちもたくさんいたし、やりたいこともいっぱいあったのに。夫といると退屈なばかり。今はのびのび暮らしています」夫にしてみれば、たまったものではない。なんとかリストラを逃れて、定年退職までこぎつけたというのに、「いい機会だから家も財産も2つに分けて、すっきり別れましょう」これでは失業と離婚のダブルパンチをくらったようなものではないか!と私などは想像するのだが、案外、当の夫もあまり驚いたふうはない。どうやら、夫婦の間では平素からそのような会話が交わされているらしいのだ。それなら、なぜ今、家を建てたり、建て替えたりするのだろう。事情を聞いてみれば、なるほど、やがて別れる2人にも、終の棲家は必要だという。





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